2025年3月、Starship EntertainmentがIVE以来3年3か月ぶりに送り出したガールグループを、業界は慎重に見ていた。5人全員が韓国人、サバイバル番組出身者なし、外国人メンバーもなし。グローバル市場を狙う5世代ガールグループの定石とは正反対の構成で、デビュー前から付いて回った枕詞はたいてい「IVEの妹分」だった。
16か月が経った今、KiiiKiiiのSpotify月間リスナーは322万人。フォロワーは89万人を超えた。2026年7月にBillboardが発表した「2026年上半期ベストK-POPソング25選」で1位に選ばれたのは、この5人の「404 (New Era)」だった。
外国人メンバーなしでは海外ファンダムをつかみにくい——その前提は、前提を立てた側が予想しなかった形で崩れた。

エラーコードを座標に変える方法
KiiiKiiiを説明するとき、まず挙げるべきは音楽でもパフォーマンスでもない。姿勢だ。このグループは、否定的な意味を持つ言葉を選び、その意味をひっくり返すやり方で自分たちの居場所をつくってきた。
グループ名からしてそうだ。「KiiiKiii」は笑い声を表す韓国語の「ㅋㅋ」に由来し、同時に英語の「key」を連想させる。人生の答えを、笑いながら探していくという意味である。名前に入った6つの「i」のうち5つはメンバーを、最後の1つはファンを指す。個々として残りながら、ひとつの名前の中に収まっている構造だ。
「私たちはそれぞれ個人ですが、成功は互いに結びついています。だから自分自身のために、お互いのために、そしてKiiiKiiiという名前のために、これほど頑張るんです」——Sui、Rolling Stone(2025年3月)
2ndミニアルバムのタイトル曲「404 (New Era)」は、この方法がもっとも鮮明に表れた例だ。「404 Not Found」はウェブでもっともよく目にするエラーメッセージ、つまり「見つからない」という言葉である。KiiiKiiiはこれを、「古い座標系で私たちが見つからないのは、すでに次の時代へ進んだからだ」という宣言に変えた。
「多くのアーティストが新時代の到来を語る。しかしKiiiKiiiは、自分たちがその時代を率いると宣言する。新人には大胆な野心だが、自信に満ちた佇まいと大胆なパフォーマンスがそれを裏づけている」——Billboard
同じアルバムのタイトル『Delulu Pack』も同様だ。「Delulu」は「delusional(妄想的な)」を略したインターネットスラングで、非現実的な期待を抱く人をからかうときに使われる。KiiiKiiiはこの語を、想像力と自己確信の名として付け直した。
「デビュー以来、私たちは自分を信じること、自分の意志がいちばん大切だというメッセージを伝えてきました。今回のアルバムではそこから一歩進んで、妄想も夢も現実になりうるという話をしたかったんです」——Kya、Clash(2026年)
デビュー作『Uncut Gem』——まだ削られていない原石——というタイトルまで並べてみると、3枚の音盤がひとつの文章を書き継いでいるのが見えてくる。未完成の状態を欠陥ではなく出発点として読む姿勢である。

16か月、5つの異なる音
新人グループがジャンルを頻繁に変えるのは、ふつう危険な選択とされる。色が定まる前に揺れれば、何も残らないからだ。KiiiKiiiはデビューから今日まで毎回違う質感の音を出し、そのたびに結果をつくってきた。
2025年3月のデビュー作『Uncut Gem』はY2K感覚のポップダンスだった。Ryan S. Jhunが中心プロデューサーを務め、Dem JointzとAugust Rigoが参加している。タイトル曲「I DO ME」は2025年4月5日、MBC『Show! Music Core』で1位を獲得した。デビューから12日、2週目に入る前のことだ。
同年8月の「Dancing Alone」ではシティポップとレトロなシンセポップへ舵を切った。11月にはEpik HighのTabloがプロデュースした「To Me From Me」で初のOSTに参加。Kakao Entertainmentがメンバーをモチーフに制作したウェブ小説『Dear.X』の収録曲で、グループの色とはまた違う叙情的なポップだった。
2026年1月の「404 (New Era)」は、UKハウスとガラージを前面に立てたクラブサウンドだ。SM系の仕事で知られる英国のデュオLDN Noiseが編曲とプロデュースを担当した。そして2026年8月、3rd EP『WhyKiiiKiii』のタイトル曲「Pop Off Pop Off」が、エレクトロニックなシンセポップへとふたたび質感を変える。
16か月で5つの異なるサウンド。 これだけの幅を新人が引き受ければたいていアイデンティティがぼやけるのだが、KiiiKiiiの場合はむしろ「何をやってもKiiiKiiiに聞こえる」という評価につながった。アイデンティティを支えているのがジャンルではなく姿勢だからだろう。
この軌跡の現在の頂点がBillboardの選定だ。2026年7月15日に発表された「2026年上半期ベストK-POPソング25選」で「404 (New Era)」は1位に選ばれた。同じリストの上位にはCORTISとNMIXXも名を連ねている。

ファンダムより先に大衆が反応したグループ
K-POP新人の成長は、ふつうファンダムの火力が先に積み上がり、大衆指標が後から追う順序で読まれる。KiiiKiiiはその順序が逆に現れた珍しい例だ。
デビュー作『Uncut Gem』のHanteoチャート初動は206,712枚だった。2ndミニアルバム『Delulu Pack』の初動は41,125枚。フィジカル音盤の指標だけを見れば大きな変化である。
ところが同じアルバムのタイトル曲が描いた軌跡は正反対だった。「404 (New Era)」はMelon TOP100で1位に立った。デビュー以来初の1位である。Circle Chartの2026年2月度デジタルチャートとストリーミングチャートで同時に1位を記録し、Billboard Global Excl. U.S.には8週連続でチャートインした。
同じ時期にふたつの指標が反対方向を指したという事実そのものが、このグループの性格を語っている。 フィジカル音盤の売上はファンダムの結集度を、音源チャートとストリーミングは大衆と海外リスナーの反応を映す。KiiiKiiiは後者が先に爆発した側だ。ファンダムがつくったグループというより、大衆が先に見つけたグループに近い。
Spotifyのリスナー分布もこれを裏づける。上位都市はソウル、江南区、瑞草区に続いて台北とクアラルンプールである。外国人メンバーなしでデビューしたグループのリスナー地図が、アジア全域に広がっているということだ。Spotifyの累計ストリーミングは約1億9000万回に達し、そのうち「404 (New Era)」1曲が7090万回を占める。
同じ2025-2026年デビュー世代でILLITをはじめとするグループがそれぞれのやり方で位置を築くあいだ、KiiiKiiiが選んだ経路は音源とストリーミングだった。
ℹ️ 数値は2026年8月初旬時点。ストリーミング・リスナー指標は時期によって変わりうる。
冗談がなければ完成しないチーム
KiiiKiiiの公式ファンダム名は「TiiiKiii」。2025年4月24日に発表された。会話がよく弾むさまを指す韓国語「ティキタカ」に由来し、話の尽きない友達のように過ごそうという意味である。チーム名が笑い声で、ファンダム名が会話のリズムという組み合わせは、このグループが何を中心に置いているかをそのまま示している。
「私たちのチーム名はKiiiKiiiで、笑い声[ㅋㅋㅋㅋ/kkkk]のように聞こえます。つまり冗談がなければKiiiKiiiは完成しないという意味です。冗談は必須なんです」——Leesol、Dazed(2025年)
「大事なのは、私たちと一緒に世界に問いを投げてほしいということです。正解を見つけることに集中するより、その過程を楽しんで、もっと多くの問いを生み出してほしいと思っています」——Jiyu、Dazed(2025年)
この姿勢はコンテンツの設計にもそのまま反映される。自主制作コンテンツ『KiiiKiii Pang Pang』はシーズン2まで続き、シチュエーションコントを行き来する。カムバックのプロモーションも告知の形ではなく遊びの形で回る。3rd EP『WhyKiiiKiii』のプロモーションでは旅行代理店を模した専用サイトが開き、情報を入力するとこのアルバムを目的地とするデジタル搭乗券が発行される。
アルバムを宣伝する代わりに、アルバムへ向かうチケットを切る方式だ。ファンを観客ではなく同行者として置く設計であり、名前に入った6番目の「i」がファンを指すという設定とも正確に重なる。

現在のチャプター——8月8日と8月10日のあいだ
2026年8月8日、KiiiKiiiは米国パサデナのローズボウルで開かれるHead in the Clouds Los Angelesのステージに立つ。KATSEYEがヘッドライナーに名を連ねたラインナップだ。デビュー年にKCON Japanで初の海外ステージを踏んだグループが、1年あまりで北米の大型フェスティバルに立つことになる。
その2日後の8月10日、3rd EP『WhyKiiiKiii』が出る。全6曲、コンセプトは旅行パッケージだ。所属事務所はこのアルバムを「6つの時間帯とテーマで構成されたパッケージツアー」として紹介し、メンバーは各区間のガイドとして登場する。古い化粧品広告やガラケーの誌面広告、ティーン映画や雑誌の質感を借りたビジュアルがその道程を埋める。
見つからないというエラーコードから出発したグループが、いまや目的地の書かれたチケットを発行している。座標がないと言われた場所に自ら座標を打ち、その座標を人々に配る順序だ。
デビュー当時に付いていた条件——全員韓国人、サバイバル番組なし、先輩グループの影——は、いまこのグループを説明するのにほとんど使われない。代わりに使われるのは、毎月322万人がこの5人の曲を聴いていて、そのかなりの割合が台北とクアラルンプールにいるという事実だ。
KiiiKiiiはいまも自分たちを原石と呼ぶ。3枚目まで来てもそうだ。おそらくその言葉は謙遜ではなく計画だろう。削られていないということはまだどんな形にもなれるということで、この16か月が証明してきたのはまさにそれだった。
