K-pop

ALLDAY PROJECT:名声をスタートラインに変えた5人

2025年6月、THEBLACKLABELが5人組の男女混成グループALLDAY PROJECTを送り出したとき、このチームをめぐる話題はすでに音楽より一歩先を行っていました。The Korea Heraldはこのチームを「8年ぶりに登場した新たな男女混成K-popグループ」と紹介し、「2017年にDSP Mediaが送り出したKardが、ほかに活動している唯一の混成アイドルグループだ」と書いています。さらにデビュー前から、曲よりも先にメンバーの経歴が注目を集めていました。このチームが何を歌うのかより先に、誰なのかが語られていたのです。

それから15か月、最初の答えを出したのは数字でした。デビュー曲「FAMOUS」は発売4日目の2025年6月26日にMelon TOP 100で1位を獲得し、デビューからわずか10日後の7月3日にはM Countdownで初の音楽番組1位に輝きました。Billboard Global 200には94位で初登場し、翌週には43位まで順位を上げています。デビューシングルのHanteo Chart初動販売枚数は48,468枚でしたが、半年後にリリースされた1st EP『ALLDAY PROJECT』の初動は250,071枚と、約5倍に伸びました。2025年11月から2026年1月にかけて行われた授賞式では、MAMAのBreakthrough Artistに加え、AAA、Melon Music Awards、Golden Disc Awardsで新人賞を受賞しています。2026年9月時点で、「FAMOUS」のSpotify再生回数は9,368万回を超えました。Melonの1位は大衆が、デビューから10日でつかんだトロフィーは番組を見守った視聴者とファンが、5倍になった初動は半年のあいだに集まったファンダムが出した答えです。

ただし、数字はこのチームが注がれた視線に何で応えたのかまでは教えてくれません。このALLDAY PROJECTレビューでは、その答えを楽曲の中に探します。15か月のあいだに、このチームの音楽は注目に直接応じることのなかった歌詞から、批判の言葉を引用してそれに答える歌詞へと移り変わり、その歌詞を書く手も少しずつメンバー自身のものになっていきました。

2025年7月、M Countdownで初の1位トロフィーを一緒に手にするALLDAY PROJECTの5人のメンバー
デビュー10日目に初の音楽番組1位を獲得した日のALLDAY PROJECT(2025年7月3日)、ALLDAY PROJECT公式Xより

1. 批判を引用し、それに答え始めた歌詞

デビュー曲のタイトルは「FAMOUS」でした。あらゆる視線が自分たちを追いかけてくると歌うこの曲には、「But we ain’t even famous」という一節があります。まだ有名ですらないというこの一行は、デビュー前から集まった注目に正面から応じるのではなく、一歩脇へよける言葉として読めます。視線がそこにあることは認めながらも、その注目が自分たちの成し遂げたことから生まれたものではないと、さりげなく線を引いているのです。

9か月後、言葉は変わっていました。2026年3月、PUBG: BATTLEGROUNDSの9周年を記念してリリースされたコラボ曲「I DON’T BARGAIN」で、Annieは自身のラップパートに「Diamond spoon stir up the pot」と書き、続けて「They say I paid makin’ me really wanna / Now I gotta pave the way they’ll never walk on」と綴りました。最初の一行は、視線が指し示していたものを自らの言葉で持ち出しています。続く二行は、お金で道を買ったと言われることがかえって自分を突き動かし、そう言う人たちが決して歩くことのない道を自ら切り開くのだと語っています。脇へよける代わりに、批判の言葉をそのまま歌詞に持ち込み、そこに自分の答えを添えたのです。

I DON'T BARGAINのミュージックビデオの竹林のシーンで、土の地面に低くしゃがみ、まっすぐ前を見つめるALLDAY PROJECTのAnnie
「I DON’T BARGAIN」のミュージックビデオに登場するAnnie、THEBLACKLABEL公式YouTubeより

変わったのは言葉だけではありません。それを書く人も変わりました。デビューシングルの2つのタイトル曲「FAMOUS」と「WICKED」では、作詞クレジットにメンバーが名を連ねたものの、作曲クレジットにはメンバーが一人もいませんでした。半年後の1st EPでは、TarzzanとBaileyが先行公開曲「ONE MORE TIME」の作詞と作曲をともに手がけました。Tarzzanは「LOOK AT ME」とユニット曲「HOT」で、Woochanはユニット曲「WHERE YOU AT」で作曲クレジットに名を連ねています。「I DON’T BARGAIN」の歌詞もAnnie一人で書いたものではなく、Tarzzan、Bailey、Woochanが一緒に書いています。

視線を受ける側だったチームは、その視線について語るチームになり、その言葉をますます自分たちの手で書くようになりました。この変化がどこから来たのかは、5人がどこから来たのかを見ると見えてきます。

2. 同じになろうとしなかった5人

ALLDAY PROJECTの5人は、それぞれ異なる分野からスタートしました。Baileyはアメリカのダンスクルー、Kinjaz出身の振付師で、10代のころにaespaの「Savage」と「Spicy」の振り付けに携わりました。TarzzanはKorea National University of Artsでコンテンポラリーダンスを専攻し、入学前にDong-A Dance Competitionで金賞を受賞しています。Woochanは2017年、12歳で『Show Me the Money 6』に出演したラッパーです。Youngseoはオーディション番組『R U Next?』で最終2位となり、別のグループのデビューメンバーに選ばれましたが、そのグループではデビューしませんでした。Annieはアメリカ・Columbia Universityでの学業を続けながら、このチームのメンバーになりました。

同じ練習室で同じやり方を身につけてきた5人ではないという点を、Baileyは弱点ではなくこのチームの個性として語りました。Hypebeast Koreaのインタビューで、Baileyは「ALLDAY PROJECTの美しさは、私たちが同じになろうとしないところだと思います。それぞれの個性を保ちながら、ひとつになって動く方法を学んでいるんです」と話しています。同じインタビューの別の場面では、「クリエイティブな面でも、文化的にも、個人的にも、私たちはまったく違う世界から来ています」とも語りました。

一人のやり方に合わせて組まれたチームではなかったため、注がれた視線に答えるときも、誰かが代わりに書いた一文では5人全員の答えにはなりにくかったのです。ダンスで語ってきた人、ラップで語ってきた人、歌で語ってきた人がひとつのチームになった以上、それぞれがまず自分の言葉で語れなければ、その言葉はチームの言葉にはなりえませんでした。

3. 自分の内から出たもので、まずチームを説得する

では、それぞれの言葉を持つ5人は、どのようにして一つの曲をつくるのでしょうか。WoochanはW Koreaのインタビューで、その過程をこう説明しています。「自分の中から出てきたものでチームを説得して、今度はチームで大衆を説得するんです」。この一文は、このチームが仕事を進める順序をそのまま示しています。まず一人が自分の内から出てきたものを差し出し、それがチームを納得させて初めて大衆の前に出ていくのです。Woochanが作曲に参加した「WHERE YOU AT」はAnnieと2人で歌うユニット曲で、作詞も2人で手がけました。

メンバーの中で最も多くの作曲クレジットを持つTarzzanは、同じプロセスのもう一つの側面を隠しませんでした。Hypebeastのインタビューで、Tarzzanは「メンバー自身が作詞・作曲に参加しているので、自分たちのやりたい方向に寄りすぎてしまうこともあるんですが、会社がちょうどいい落としどころを見つけてくれるんです」と話しています。自分の内から出てきたものが、いつもそのまま大衆に届くわけではなく、その間でレーベルがバランスをとっているということです。そのバランスの中でも、Tarzzanは「ONE MORE TIME」「LOOK AT ME」「HOT」に共同作曲者として名を連ねています。

WICKEDのパフォーマンスビデオの地下セットで、同じ動きで踊るALLDAY PROJECTの5人を真上から捉えたカット
「WICKED」のパフォーマンスビデオのワンシーン、THEBLACKLABEL公式YouTubeより

同じやり方はステージにも表れています。男女混成という形について、Baileyは、男女でパートを分けるのではなく、視点やエネルギー、感情を混ぜ合わせて、より豊かで立体的なものをつくろうとしていると語りました。デビュー当時にダンス映像が公開されると、歌詞を際立たせるポイント振り付けとともに、混成グループの強みを生かしたペア振り付けが注目を集めました。あるダンスチャンネルは「WICKED」のパフォーマンス映像を紹介する際、「ペア振り付けの教科書」という説明を添えています。男性メンバーのパートと女性メンバーのパートを別々に立てるのではなく、2人がペアを組んで初めて完成する動きでステージを構成したのです。

Annieの場合は、発言と歌詞が並んでいます。THEBLACKLABELとプロデューサーTEDDYのレガシーに加わることについて、Annieは「プレッシャーというより、THEBLACKLABELとプロデューサーのTEDDYのレガシーの一部になれることに、本当に胸が躍りました。期待に押しつぶされるのではなく、それをモチベーションにしてきました」と語っています。押しつぶされかねなかった期待をモチベーションに変えるというこの言葉は、7か月後に批判へ答えた歌詞と重ねて読めます。

この4人の言葉は、ひとつにまとまります。まず自分の内から出てきたものでチームを納得させ、それからチームがそれを大衆の前に差し出す。批判に曲で答えられるこのチームの土台には、答えがメンバー自身から生まれるというこの順序があるのです。

4. 名声の先に立てた目標

デビュー曲のタイトルが「FAMOUS」だったチームで、Youngseoは成功についてこう語っています。「単に『有名になること』だけが成功だとは思っていません。本当に自分が成し遂げたい目標、心から望む目標にたどり着いたときのほうが、価値があると思うんです」

このチームにとって名声は、自ら勝ち取ったものではなく、最初から与えられていた条件でした。デビュー前から話題の的になり、曲より先に経歴が語られていました。すでに持っているものを目標にすることはできません。だから目標はその先に立てる必要がありました。有名になることではなく、自分たちが何を望むのかを自ら決め、そこにたどり着くことです。

そう考えると、デビュー曲の「But we ain’t even famous」も違って読めてきます。与えられた名声を自分たちの成果とは数えないこと、そして自分たちだけの目標を立てることを示す最初のサインとして読むことができるのです。直接応じることのなかった歌詞が批判に答える歌詞になり、それをメンバー自身が書くようになった15か月は、このチームが名声というスタートラインから自分たちの目標へと歩んできた距離です。

5. 5人が再び集まる場所で

2026年9月28日18時(韓国時間)、ALLDAY PROJECTは2nd EP『CRASH』をリリースしました。1st EPから約9か月ぶりとなる作品で、Annieが学業を終えて戻ってから5人が再び揃ってつくった初めてのアルバムです。5月にライブ配信されたColumbia Universityの卒業式で、ステージに上がったAnnieはファンダムの名前を呼び、「DAY ONE、愛してる」というメッセージを残しました。

2nd EP CRASHのコンセプトフォトで、クラシックなスタイリングで並んで立つALLDAY PROJECTの5人のメンバー
2nd EP『CRASH』のコンセプトフォト、ALLDAY PROJECT公式Xより

『CRASH』には、「TALK」、タイトル曲「CRASH」、「DO IT LIKE THIS」、「NO 한도」(NO LIMIT)、「UP ALL NIGHT」の5曲が収録されています。THEBLACKLABELはアルバムを紹介する中で、「ALLDAY PROJECTは、自分たちに向けられた世の中の視線と絶えず向き合いながら成長する」と記しました。このレビューがたどってきた流れを、レーベル自らがアルバムを説明する言葉として持ち出したわけです。タイトル曲「CRASH」は、繰り返される中低音のシンセループに乗ってメロディが続いたあと、フックでドラムラインが前に出るダンスビートへと切り替わるエレクトロ曲で、レーベルはこの曲に「決められたルールに縛られない大胆な姿勢」を込めたと説明しています。

アルバムの幕を開けるのは、9月21日に先行公開された「TALK」です。レーベルはこのインダストリアル・ヒップホップ曲を、「ALLDAY PROJECTを取り巻くさまざまな視線に正面から応じる」曲だと紹介しました。デビュー曲では直接応じなかった視線に、「I DON’T BARGAIN」では一人のメンバーの歌詞で答え、今回はアルバムの1曲目そのものをその答えにしたのです。ブラジリアン・ファンクをベースにした「NO 한도」については、「デビュー以来続けてきた堂々とした叫びは、変わることなく続いていく」と書いています。9月24日にミュージックビデオが先に公開された「DO IT LIKE THIS」は、ミニマルなベースヒップホップの上で、5人ならではのバイブスと自信を前面に押し出しています。

歌詞を書く手がメンバーの側へ移ってきた流れは、今回のアルバムでも続いています。5曲すべての作詞クレジットにメンバーが名を連ね、TarzzanとBaileyは5曲すべての歌詞を共同で書きました。「NO 한도」と「UP ALL NIGHT」は、5人のメンバー全員が作詞に名を連ねた曲です。作曲では、Tarzzanが「DO IT LIKE THIS」に名を連ねています。

アルバムの最後を飾る「UP ALL NIGHT」は、このチームが初めて挑戦したアコースティック曲です。レーベルはこの曲に「不確かで繰り返される日々の中でも、今この瞬間を一緒に長く楽しみたいという思い」を込めたと説明しています。視線に答える曲で幕を開け、5人が一緒に歌詞を書いた曲で幕を閉じるアルバムです。「But we ain’t even famous」と一歩脇へよけていた5人は、今では視線に答える言葉を自ら書き、アルバムの最初と最後に置いています。その言葉が次にどこへ向かうのか、見守りたいところです。